『M&A』や『競合分析』でお困りの経営企画必見
企業情報データベース選定ガイド

経営企画部門の方なら、一度は導入を検討したことがあるはずの『企業情報データベース』。買収・資本提携ターゲットの調査・分析や、競合の動向把握に欠かせないツールです。一方で、与信調査サービスや営業リスト作成ツールも同じ「企業情報データベース」で括られてしまうため、目的にあったサービスの選定が難しくなっています。
このガイドでは、企業情報データベースを利用目的別でカテゴリ化し、それぞれの特徴とユースケース、代表的なサービスを紹介します。そして後半では、M&A実務者や経営企画の方に最適な サービスを詳しく解説していきます。
企業情報データベースとは
企業情報データベースとは、上場・未上場企業の基本情報や財務諸表、決算概要、業績推移、業界分類、取引・M&A履歴、信用・与信情報、ニュース・開示情報などを体系的に収集・整理して提供するサービスです。
主なユーザーは、経営企画、M&A担当、投資家、与信担当、営業など幅広く、さまざまな意思決定の根拠として利用されています。利用目的は多岐にわたるため、次のセクション以降詳しく説明していきます。
企業情報データベースを利用するメ リットは、手作業で情報収集する時間的コストを大幅に削減し、意思決定をスピード化できる点です。通常のWeb検索では手に入らない情報を獲得できるという点も見逃せません。
企業情報データベースのカテゴリー
企業情報データベースは、利用者の様々な目的に合わせてサービスが設計されており、いくつかのカテゴリーに分類することができます。
実は、これらのデータベースに「これが正解」という決まったカテゴリー分類はありません。そこで、データベースの利用を考えている方がイメージしやすいように、利用目的別でカテゴリーを分し、収録データとそれぞれの利用シーンを一覧表にまとめました。
| カテゴリー | 収録データ | 利用シーン |
|---|---|---|
| セールスデータベース | 企業の基本属性データや、セグメンテーションに活用できる企業属性データやテクノグラフィック(利用技術)データ、および役員などキーマンのコンタクト情報 | ターゲット企業のスクリーニング、コールドコールリスト作成、キーマン探索企業情報の一元管理 |
| 企業分析データベース | 企業の基本情報に加え、時系列かつ正規化された財務データやマーケットデータ | 財務戦略・資本政策の意思決定、M&A・投資対象のリスト作成、競合企業の戦略分析など |
| 与信・信用調査データベース | 財務データに加え、信用調査員による訪問取材を元に算出した信用スコア・与信スコア | 新規取引先の信用調査・与信調査 |
| テーマ特化型企業データベース | 企業情報に加え、特定のテーマに特化したデータを収録(例: M&A取引情報やスタートアップ専門、特許情報など) | スタートアップのリストアップや、特定の特許技術を保有する企業のリストアップなどニッチな目的 |
目的に合った企業情報データベースの選び方
企業情報データベースを選定するうえで重要な観点はいくつかありますが、まずは導入目的に合っているサービス群から選定することが最も重要です。各カテゴリーの利用目的と主要ユーザー、代表的なサービスをご紹介します。
セールスデータベース
主なユーザー
- 営業マネージャー、営業企画・営業推進
- インサイドセールス
- マーケティング
代表的なサービス
利用目的
主に営業・マーケティング組織が、業界や企業規模でターゲット企業をスクリーニングし、ターゲットリストやテリトリープランの作成するために活用。
その他、SFAやCRMと連携して企業情報のマスタ管理や、アウトバウンドのコールドコールリスト作成やリストスクリーニングに有効。
企業分析データベース
主なユーザー
- CFO、財務部門
- M&A担当、投資部門
- 事業戦略、事業企画
代表的なサービス
利用目的
競合比較や業界ベンチマークによる財務戦略・資本政策の意思決定。
M&A・投資対象のロングリスト作成や、財務データやバリューエーションで初期スクリーニングし、ショートリストに絞り込むなど。
その他、業界レポートやニュースを活用した競合企業の戦略分析。
与信・信用調査データベース
主なユーザー
- 信用調査
- コンプライアンス
- 調達・購買
代表的なサービス
利用目的
新規取引先の真正性や販社や係争リスクなどのコンプライアンスチェッ ク、および与信限度額や取引条件の決定。
他にも、M&Aショートリストや競合企業リストアップ後に、個社を掘り下げてリサーチする目的での利用。
テーマ特化型企業データベース
主なユーザー
- 【M&A】 M&A担当、投資部門
- 【スタートアップ】 VC・CVC、投資部門
- 【特許情報】 技術・開発部門
代表的なサービス
利用目的
【M&A】 過去の類似M&Aデータからトランザクションマルチプルによる企業価値を評価
【スタートアップ】 スタートアップを対象とした投資先やM&A候補の探索
【特許情報】 保有する技術や特許から提携・買収先を検討するためのリスト作成
経営企画必携の『企業分析データベース』
事業会社の経営企画部門が導入すべき企業情報データベースは何でしょう? 結論から言うと、『企業分析データベース』が経営企画の相棒となるツールです。
経営企画の仕事は多岐にわたりますが、企業価値を上げるための資本政策の検討やM&A・資本提携の実行、競合他社の調査や業界調査など、他企業の情報を収集するという共通点があります。
このセクションでは、特に膨大な企業調査が発生する買収候補リスト作成のプロセスを例に上げ、企業分析データベースの活用シーンをご紹介します。
1. 買収ターゲットのロングリスト作成
まず、買収ターゲットを業界や業態、規模などで定義し、対象となる企業を可能な限り網羅的に抽出します。このとき、投資銀行やM&A仲介業者にソーシングを依頼することもできますが、どうしてもバイアスがかかったり、網羅性が欠けてしまいます。
自社でソーシングすることが重要ではあるものの、しらみ潰しにデスクトップリサーチで探す方法はいくら時間があっても足りません。ここで、業界や財務データを元に企業を検索・スクリーニングできる「企業分析データベース」を 活用します。
買収対象企業は多くの場合国内未上場企業になるでしょうから、国内未上場企業の掲載社数が多いことが必須要件になります。さらには、業界分類でのスクリーニングや、事業に関連するキーワードで検索できることが、ロングリスト作成のスピードとリスト精度のキーになります。
2. 規模や成長性でスクリーニング
次に、ロングリストを規模感や成長性などの定量データで絞り込み、ショートリスト化します。
対象が上場企業のみであれば、公開されているIR情報からこうした定量データを獲得することはできます。しかし、各社を横並びで比較できるように標準化された指標を各社のデータから抽出・算出し、Excelにまとめていくのは骨の折れる作業です。財務データを標準化して格納している企業分析データベースを活用すれば、大幅にショートカットすることができます。
一方、未上場企業は財務データの公開情報が非常に限られているため、企業分析データベースにも完全に網羅されているわけではありません。バフェット・コードが提供している従業員数の推移で規模や成長性を推測するか、帝国データバンクのように個社の深い情報を持っているサービスを併用すること選択肢の一つになります。
3. 定性情報や非財務的評価を補完
ショートリストが完成したら、各企業の経営者・役員の顔ぶれや実質的支配者 (株主) といったガバナンス観点の評価や、保有技術や資産、M&A戦略とのアラインメントなどの観点で評価を追加し、スコアカードやサマリーにまとめていきます。こうしてM&A戦略の文脈に沿った情報を追加することで、投資委員会や経営層を説得できる、魂のこもったターゲットリストが完成します。
このステップにおいては、直接取材により個社を立体的に分析できる情報を保有している帝国データバンクや東京商工リサーチのようなサービスの併用が考えられます。また、テクノロジーバイアウト (技術獲得目的の買収) であれば特許情報に特化したデータベースの活用を検討しても良いでしょう。
企業分析データベース徹底紹介
経営企画必携ツールである「企業分析データベース」の代表的なサービスについて、詳細に解説していきます。
バフェット・コード

料金体系
初期費用 + ID単位の課金形態。
提供情報量に対して安価な価格設定。
主な強み
- 1,600の業界区分による企業スクリーニング
- 約30%の未上場企業で財務データを収録
- 約9割の企業で月次従業員数推移を保持
- 過去のM&Aデータ10年分を蓄積
概要
バフェット・コードは、6年前に開始されたサービスであり ながら、国内上場企業4,000社以上、未上場企業を146万社を収録。
独自のデータ収集により、M&Aソーシングに不可欠な財務情報を約50万社分カバー。財務情報が欠けている場合も、月次従業員数を約9割の企業で取得しているため、規模感や成長性の代替指標として活用可能。
業界区分が類似サービス比較で最多の1,600業種に細分化され、その他条件と組み合わせて企業スクリーニングができるため、高い精度でロングリストを抽出できます。
買収時点での非買収企業の財務データを含む、過去のM&Aデータを10年分収録し、過去事例から適正バリューエーションを算出可能。
適しているユースケース
- 国内企業のロングリスト作成
- 規模・成長率分析によるショートリスト化
- 過去M&A事例からトランザクションマルチプルで企業価値評価
スピーダ

料金体系
価格未公開。ID数に応じて変動する月額費用が基本。ユーザーレビューでは高価格帯であることを指摘するコメントが多い。
主な強み
- 業界の動向把握に有効な業界分析レポート
- エキスパートによるリサーチやコンサルティングメニュー
- 旧INITIALの国内スタートアップ企業データ2.6万社
- 特許情報の検索機能
概要
スピーダは、株式会社ユーザーベースが2009年に開始し企業・業界情報プラットフォームで、国内法人データ150万件と570の業界分類、全世界で1,200万件の企業データを収録。海外のデータは特にアジア圏に強み。
企業情報だけでなく、業界レポートや業界プロフェッショナルによるリサーチソリューションなどを提供しているのが特徴。テクノロジーバイアウト向けに特許情報の検索機能も提供。
過去別サービスとして提供していたFORCASやINITIALがスピーダに統合されており、オプション購入することで1プラットフォームで広範な企業・業界情報にアクセスできるのが特徴となっている。
適しているユースケース
- ターゲット業界リサーチ
- アジア圏のM&Aソーシング
- スタートアップやテクノロジーバイアウト
FactSet

料金体系
完全に個別見積。アクセスするデータセットやID数で変動するものと推測。サードパーティのベンダー比較サイトによると平均45,000 USDとされている。
主な強み
- 5,000人規模のデータ収集職員による圧倒的なデータ量
- 100以上のサードパーティデータベース、40以上の自社データベースを構築
- 用途に合わせた300種類以上のデータセットを提供するマーケットプレース
- 世界中の大手金融機関やエンタープライズで使用されている実績
概要
50年近い歴史を持つ、グローバルな企業分析データベース提供会社。用途によって様々なデータセットを提供しているため、データベースによってカバレッジの表記は異なるが、全世界で49,000社以上の上場企業セグメント売上データ、115カ国86,000社の財務基礎データを収録。非上場企業は全世界で1,564万社を掲載。
充実したAPIとマーケットプレースに強みがあり、ユーザーが必要とする独自のデータセットをテーラーメイドしやすい。
国内未上場企業に関しては細かい粒度のデータは保持していないと推測されるため、外国企業M&Aでの活用が本命か。
適しているユースケース
- 大手資産運用会社や投資銀行での活用
- 外国企業のM&Aソーシング
S&P Capital IQ Pro

料金体系
個社ごとの見積。対象のデータセット次第で価格が変動すると見られ、非公式フォーラムでは年間数万ドル〜十数万ドルとの記述が見られる。
主な強み
- 全世界で5,400万社以上の膨大な企業数を収録
- パワープラントや鉱山、不動産などのアセットをカバー
- ExcelやMS Office系ソフトへのシームレスなデータ連携
- 世界中の大手投資銀行やアセットマネージャーに使用されている実績
概要
S&P Capital IQ Proは、約30年前にサービスが開始され、投資銀行やアセットマネージャーによる企業分析や財務モデリングで活用されてきたツール。
全世界で109,000以上の上場企業財務データを保有し、5,400万社の未上場企業と1,400万の未上場企業財務データを収録。
FactSetと同様、国内未上場企業に関するデータは網羅性が高くないとみられ、外国企業M&Aでの活用が想定される。
適しているユースケース
- 大手資産運用会社や投資銀行での活用
- 外国企業のM&Aソーシング

バフェット・コード編集部
企業分析に本気で取り組みたい人向けのアカウント。企業分析に要する時間を1/20に短縮するツール「バフェット・コード」(https://buffett-code.com)公式です。利用無料・登録不要で使えます。儲かる事業を調べることが好き。投資銀行出身。初期メンバーとなる精鋭10人を探しています。
